妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【??】

『あれ……、あいつがいない?』

部屋の中を確認すると、そこにいるはずの奴が居なかった。

『可笑しいな……。この部屋から出ることなんて出来ないはずだが……』

『どうかしたのか?』

俺の後に、主が現れる。

『奴が消えたよ、どうすんの“ヴィーナス”』

『まさか…、本当に居なくなったのか?!』

俺は、手のひらに映像を出して、ヴィーナスに見せる。

『ほら、居ないだろ?』

『……』

ヴィーナスは、焦ったように俺に言う。

『今すぐ探すんだ!あの子は、外に出るのはまだ早い!』

『分かってる。だけど、少し時間かかるな……』

『早く頼む!オルド!』

俺は、名前を呼ばれ首に下げてある鍵を取る。

『了解、ちょっくら人間界行ってくる』

目の前に大きな扉が現れ、鍵穴に鍵を差し込む。

その時、後ろから走ってくる足音が聞こえた。

『ねぇお母様!また生まれたよ!僕の妹……―――』

少年は、俺をじっと見る。

『オルド、何処かに行くの?』

『ちょっとな…。ヴィーナスから離れるなよ“アク”』

『はーい!オルドいってらっしゃい!』

俺は、ヴィーナスに目を向ける。

『頼んだぞ』

『はいはい』

俺は、扉の中へと消えた。