【望美】

「ん……」

頭が痛い、それに体の所々も痛む。

(あれ…、私どうしたんだっけ?)

思い出そうとするけど、何も思い出せない。

私は、ゆっくりと目を開ける。

「天井…?」

何処かの部屋だろうか?

でも、薬品の匂いがする。

それに、私は酸素マスクを付けていた。

「私は……」

「望美、気がついたか!」

聞き覚えのある声に、私はハッとした。

隣を見ると、奈津が私の手を握っていてくれた。

「…奈津?」

なんで奈津がここに居るの?

だって、奈津は私のこと…。

『良かったよ望美!』

ルルは、泣きながら私の隣で泣いている。

「ルル…」

腕をあげようとしたけど、痛くて上がりそうにない。

「私……、どうしたの?」

「何も覚えていないのか?」

「……たしか…」

思い出そうとしてみたけど、その度に頭が痛んだ。

『奈津、医者を呼んでこい』

「ああ!」

私は、咄嗟に奈津の服を掴んだ。

「望美?」

「行かないで……」

何があったのか思い出せない。

だけど、今思うのは、奈津に傍に居てほしいことだった。

行かないで欲しかった。