妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

『分かった。私もなるべくオルドには気をつける。あと、それとね』

「なんだ?」

シンクは、優しく微笑む。

『望美や奈津達と居ると、凄く楽しいんだ』

「…あっそ」

俺は、窓に足をかける。

「だからって、帰らないなんて言わせないぞ」

俺は、ニ階から外へと飛び出す。

『もう!危ないことしないでよ!』

「この方が手っ取り早いんだよ」

そして、づかづか歩き出す。

「あの人、目覚ましたのか?」

『分かんない。今から戻るとこ』

「…俺も行く」

『ええ?!いいの?!!』

俺は、立ち止まりシンクを睨む。

「お前だけだと不安だからな。それに、もうあの人たちは、俺たちの厄介事に巻き込まれてる」

『じゃあ、奈津に話すの?』

「…いや、話さない」

『な、なんで?!』

俺は、写真を取りだし、月の光に照らす。

そして、写真からは家族のシルエットが映し出される。

「それには、奈津が自分で気づかなくちゃ駄目だ」

『でも…』

俺は、写真をしまう。

「とりあえず、俺はただあの人の様子を見に行くだけだ。余計なことを、話す気はない」

『奇跡の意地悪!』

「それは、お前がよく知ってるだろ」

俺は、病院に向かって歩き出した。

『そうだけどさ…』

シンクは、俺の後ろでぶつぶつ言い始めた。

ま、話したところで過去は変わらない。

これは、シンクにも言っていないことだが。

俺達がこの時代から離れれば、シンクや俺と関わった奴らの記憶の中から、俺達は消去される。

じゃないと、未来に行けないからな。