【奇跡】

「ここだな…」

俺は、夜に学校に忍び込んでいた。

確かめたかった事があったからだ。

俺は、指輪を出して、あの人が倒れていたところを見て回る。

すると、指輪が微かに紫色に輝く。

「やっぱり…」

あいつの反応がここにある。

ということは、やはりこの時代からあいつは動き始めていたことになる。

「でも、何であの人を狙う…」

ヒュプとかいう妖精を使って、奈津に催眠術をかけて、気持ちを奪って。

(何が狙いだ?)

もしかして、あの人で遊んでいるのか?

『あ、やっぱりいた』

「シンクか」

シンクも何かを感じてここに来たのだろう。

『ここに来るかと思っていたよ』

「これを調べるのは、俺の仕事でもあるし。それで、お前は何故ここに?」

『何か嫌な力をここで感じたから』

「なるほど…」

記憶はなくとも、体は感じるのか。

それもそうか……。

「良かったな。命に関わる大事故じゃなくて」

『う、うん…』

シンクは、俺の肩に座る。

『実はね、つい最近オルドに襲われたんだ』

「うん、それは知ってる」

俺は、携帯を取り出し、写真を撮る。

『やっぱり、助けてくれたの奇跡なんだね』

「俺の気まぐれな」

俺は、更に写真を撮る。

『何で写真なんて撮るの?』

「分析写真だ。持ち帰って力の分析を行うためのな」

『そんなこと出来るんだ!』

そんなの当たり前だ。