妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【アク】

『どういうこと…』

ヒュプの力が彼に効いていないのか?

そんな事があるのか?

『…そんなはずない…!』

ヒュプは、僕が考えて作った妖精だ。

力が効かないなんてことは、ないはずだ。

『それとも、あの奈津って奴が、何か体質があるのか?』

普通の人間に、そんな体質があるなんて聞いたことない。

ルルの持ち主の望美なら、別だが…。

『アク!』

『――!』

お母様の声が聞こえて、後ろを振り返る。

『お、お母様…、どうしたの?』

『こんな所で、何をしているんだ?』

僕は、鏡を隠す。

『ちょ、ちょっと遊んでただけ』

『一人でか?』

『う、うん。だって、僕の弟や妹たちまだ小さいし…』

『そうだな。私は、ちょっとこれから部屋にこもるから』

『えっ!』

僕は、お母様の手をとる。

『待って!今度は、いつ出てくるの?』

僕の頭をお母様は、優しく撫でてくれた。

『すぐ出てくるよ。それまで、兄妹たちのこと任せたよ』

『う、うん…』

お母様の手を離し、扉の向こうにお母様は消えた。

『…なーんってね』

僕は、再び鏡を見る。