妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【奈津】

「先輩、木材取ってくれば良いんですか?」

「あぁ!よろしくたのむ」

先輩に頼まれ、俺は校舎の中へと向かう。

水無月は、サボりなのか姿が見えない。

でも、居ない方が静かでいいし。

イラつかなくてもすむ。

『木材は、確かこっちだったよな?』

「たしか、そうだったはずだけど」

でも、そこには数名の生徒達が集まって慌てていた。

「なんだ?」

『何かあったんじゃないのか?』

よく見れば、木材がその辺に散らばっていた。

「木材が倒れただけじゃないのか?」

でも、皆のこの慌てようはなんだ?

『ハヤテ!!!』

『る、ルル?!』

ルルが勢いよく突っ込んできた。

『いってぇ…、どうしたんだよいきなり』

ルルがここに居るってことは、望美も居るのか?

そう思った俺は、思わず望美の姿を探す。

だけど、望美の姿は見当たらない。

(てか、探すなよ俺は…)

ハヤテに突っ込んだルルは、何故か泣いていた。

『ど、どうしたんだよルル!』

『望美が!!』

「えっ…」

俺は、嫌な予感がした。