妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【有水】

「こ、こわぁ……」

『もの凄く怒ってたよねぇ…』

「知らないっ!」

私は、係の仕事をサボって校舎の中に向かう。

「やっぱり、まだ奈津くん好きなんだよ。望美さんのこと…」

『でも、ヒュプの力は聞いてきてると思うけど』

「どうかな」

聞いてるなら効果は直ぐにあると思うけど、奈津くんの様子からして、中々効果が見られない。

(早くしてよね!)

階段を登りきった時、望美さんの話す声が聞こえた。

「ここに木材立てかけてあるから、他の一年の子達と数えてくれる?」

「分かりました」

「これに個数書いてあるから、よろしくね」

先輩に紙を渡され、望美さんは言われた通り木材の数を数え始める。

「いいこと思いついた」

『有水?』

「ちょっとだけ意地悪しちゃおうかな?」

『なにするの?』

私は、並べられた木材の裏に入る。

「一・二枚倒して、驚かせるの」

『大丈夫なの?』

「当たらないようにはするよ」

私は、望美さんが数え終わった木材を軽く押した。