「なんだよ?」

「ふふーん!だって、奈津くん別れたんでしょ?」

「はっ?」

「望美さんと、別れたんだよね?」

水無月は、それを確認してくるように『別れた』部分を強調してきた。

「あぁ、別れたよ。でも、俺はお前と付き合う気はない」

「えー!何でよ!」

「お前のこと好きじゃないから」

水無月にそう告げ、俺は歩き出す。

「ま、待ってよ!」

ホントしつこいやつだ。

「じゃあ、一つ聞いてもいいか?」

「なに?」

「俺は、お前と付き合って何か得するのか?」

「得?うーん…。例えば、世界でサッカーがしやすくなる」

「だから、それも前に言ったけど、サッカーで俺を釣るな。本気でサッカー辞めるぞ」

サッカーを餌として釣ってくる奴は、本当に嫌いだ。

望美は、そんなことなんか……。

(なんで、望美のこと…)

その時、俺の首筋が痛んだ。

「う、嘘だよ!例え話しじゃない」

「二度と例え話しするな」

イラつく。

体育館の裏に行こうとした時、そこで望美と小林先輩の姿を見かけた。

「あれ、望美さんと小林先輩だ」

俺は、咄嗟に隠れてしまった。