【奈津】

『ねぇ奈津!』

「……」

俺は、後夜祭スタッフとして、校庭でキャンプファイヤーの準備をしていた。

『奈津ってば!』

さっきから俺の名前を叫んでいるのは、望美の妖精のルルだ。

『奈津ってば!返事してよ』

「うるさいなぁ、なんだよ!」

『何で望美の話聞かないの!』

「っ――」

俺は、今日まで望美のことを避けている。

望美と話すのが嫌だったからだ。

「話すことなんてないからな」

俺は、黙々と準備を進めていく。

『奈津がなくても、望美にはあるの!』

『おい、ルルその辺にしろよ…』

『ハヤテは、黙ってて!』

『はいっ!』

ルルは、俺を睨みつけてくる。

『もしかして、あの有水ってこを好きになったの?』

俺は、その言葉に反応して言い返した。

「そんなことあるわけないだろ!」

何故か直ぐにその言葉が出てきた。

『ふーん。本当かなぁ…』

ルルは、疑わしげに俺を見てくる。

「当たり前だ!誰があんな女!」

『ふーん…』

「この……」

なんか、イラついてきた。