「ご、ごめんね!聞いちゃ駄目だったよね」

天翔先輩は、気まずそうに視線を逸らす。

「天翔先輩…」

私は、天翔先輩に近寄る。

「聞いてくれますか?私の話…」

「えっ?僕なんかでいいの?」

「はい、天翔先輩だから…。話せると思います」

「望美さん…」

係長に休憩をもらって、私達は体育館の裏で座っていた。

そして、奈津のことをはなす。

「小早川さんと、別れたんだね…」

「はい…」

まだやっぱり胸の辺りが痛くなる。

私は、痛くなる胸を抑える。

「望美さんは、まだ小早川さんの事が好きなの?」

「…はい。好きです」

天翔先輩の前では、素直にこの言葉が出てきた。

「そっか…。新しい恋とかは求めないの?」

天翔先輩は、聖夜くんと似たようなことを言ってきた。

「そうですね…。多分無理です」

私は、天翔先輩に笑っていう。

「だって、こんな関係になっても、私はまだ奈津の事が好きですから」

好きだからこそ、もう一度奈津の隣に立てるように頑張りたい。

「…じゃあ、僕は応援するよ!」

天翔先輩は、立ち上がっていう。

「何かあったらいつでも相談してね、出来る限り僕も力を貸すから」

「ありがとうございます!」

私は、ここで聖夜くんの言葉を思い出す。

『望美の周りには、力になってくれる奴らが沢山居るだろ?』

聖夜くんの言った通りだったよ。

「おーい、一年生」

「はい!」

係長に呼ばれて、私は天翔先輩に軽く頭を下げて体育館の中に向かった。