あれから数日――

桔梗学園では、文化祭に向けてちゃくちゃくと準備が進められていた。

そして、私と奈津はというと、あれ以来まともに会話をしていない。

会話するどころか、奈津が私を避けている気がする。

「はぁ…」

そして、今は放課後。

私は、体育館に来ていた。

舞台スタッフとして、演劇部やファッション部、ダンス部など体育館を使う部活から話を聞いている。

「どうしたの望美さん?元気ないみたいだけど」

「え、そ、そんなことないです」

流石に天翔先輩には、奈津のことを相談出来ないよ。

「そうかな?この頃溜め息つく回数増えてる気がするけど」

「そ、そうですか?!」

天翔先輩よく見てるなぁ。

「天翔先輩よく見てくれてるんですね」

「えっ?!」

その言葉に天翔先輩の顔は真っ赤になる。

「ふ、深い意味はないよ!ただ心配してるだけで」

そ、そんなに否定しなくても。

でも、こうやって心配してくれる天翔先輩に、迷惑をかけるわけにはいかなかった。

「天翔先輩は気にしないでください。私は、大丈夫なので」

私は、視線を床へと移す。

「もしかして、小早川さんと何かあった?」

「うっ…!」

何でみんなズバリ当てられるの?!

「…」

な、なんて言えば良いのだろうか…。