妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【ルル】

『ラブラブそうでなにより』

『そうだな、奈津の方も頑張ってるし』

ルルとハヤテは、俺たちから少し離れたところでそう話していた。

『そうだ、ハヤテ一つだけ聞いてもいい?』

『なんだ?』

『最近ね、新しい妖精が生まれた気配を感じたんだ』

『新しい妖精?』

『それで、ハヤテは気配感じなかった?』

ハヤテは、少しだけ考える。

『いや、何も感じなかったけど?』

『やっぱり…、他のみんなに聞いても、感じなかったって言ってるんだ』

もしかしたら、感じたのは私だけなのかな?

でも、不思議だなぁ?

新しい妖精が生まれたら、どんな妖精か気配で探れるんだけど、その子は何も探れない。

それに、直ぐ近くに居る感じがするのに、何処に居るのか分からない。

『そんなに考える事でもないんじゃないか?直ぐに会えるさ』

『そうだといいけど』

時々不安になることがある、新しい妖精が生まれる気配を感じる度、私みたいな子が生まれるんじゃないかって。

でも、私は前の私とは違う。

『友情の妖精の役目って、何だろう?』

『…それはルルが見つければいいんじゃないかな?』

『私が?』

ハヤテは、サッカーボールを頭に乗せてバランスを取る。

『どういう理由でヴィーナスがルルを友情の妖精にしたか分からないけど、それには意味があるんじゃないか?』

『友情の妖精としての意味……』

ハヤテは、サッカーボールを上へと上げると、両手でキャッチする。

『俺は、奈津のサッカーが大好きな気持ちから生まれた。だから、俺の役目は奈津にサッカーを大好きな気持ちを失わせないこと。あと、もっと大好きにさせること』

『前の私は、望美に絵を描くことを好きになってもらうことが役目だった。でも、今はその役目はない。望美は、ちゃんと自分から絵を描くことを好きになり始めているから』

私は、それが何より嬉しい。

『前にね、私は望美とその周りの人たちを繋げる妖精になれたら良いなって、思ったことがあるんだ』