【望美】

「はぁ…はぁ…」

「なんとか、逃げきれたみたいだな」

「そうだね」

さっきのオルドって妖精は、一体何者なの?

私達の周りで、何が起ころうとしているの?

『ねぇ、シンクは前に一度オルドと会ってるよね?』

『えっ!』

ルルの質問に、シンクは視線を逸らす。

「シンク…?」

『本当のこと話してくれない?』

『…会ったよ。奈津のサッカーの応援しに行った時、私を捕まえようとして、公園で会った』

『やっぱり』

もしかして、ルルが言っていたのはこのこと?

シンクが私達に隠していることがあるって。

『言ったら、望美達巻き込んじゃうよ』

「私は、大丈夫だよ。でも、シンクが無事で良かった」

私は、シンクに微笑んだ。

「どういう事か話についていけないけど、何かあったら俺にも言えよ」

「ありがとう、聖夜くん」

「あぁ。シビルが居なくても、俺にもできることがある筈だからな。それに…」

聖夜くんの手が、私の頬に触れる。

「俺は、望美が好きだよ」

「えっ!」

『ちょっ?!』

いきなりの聖夜くんの告白に、私の頬が赤くなる。

「奈津が本当に望美のことを嫌いになったなら、俺はお前を奪いに行く。そして、奈津への未練を断ち切らせる」

「……」

聖夜くんの気持ちは嬉しい。

だけど、私は――