【奇跡】

「はぁ…、危ねぇなぁ」

オルドから距離を取り、シンク達が逃げきれたことを確認する。

「あいつ馬鹿だろ!」

馬鹿というのは、シンクのことだ。

俺は、シンクにちゃんと言ったはずだ。

『過去に干渉しすぎるな』

でも、それを俺が言ったのは、記憶をなくす前のシンクだ。

「たく…」

俺は、精霊銃をしまう。

「今回は、なんとか助けてやれたけど」

次は、オルドも本気で来るだろう。

「あの人、大丈夫かな…」

でも、俺はあの人が心配だ。

「俺達がこの時代に飛ばされた理由って、まさか…」

俺は、ポケットから写真を取り出す。

そこには、俺の家族が写っている。

「…ま、いいか」

俺が力を貸すのは、シンクがそれを求めた時だけだ。

それ以外は、全て見守らせてもらう。