【有水】

「やったぁ」

私は、トイレへと駆け込む。

「あのヒュプって子、本当にやったよ!奈津くんのあの態度見たでしょフレイア!」

『う、うん!見たよ!』

「正直あまり期待してなかったけど、これは早く奈津くんにアピールしなくちゃ」

『そうだね!』

私は、トイレから出て奈津くんの元に向かう。

「奈津くーん!おはよう!」

私は、奈津くんに飛びつく。

いつもなら直ぐに剥がされるけど、今日はそんなことなかった。

「なんか望美さんと言い争ってるの見たけど、喧嘩でもしたの?」

「……」

奈津くんは、ウザそうに私を見てきた。

「別に、ただウザいだけ」

「うざいなら、別れちゃえば?」

私は、耳元でそっと囁いた。

「別れる…か」

私は、奈津くんから離れる。

「それも、ありだな…」

「なら、私と付き合ってよ!」

奈津くんは、じっと私を見てきて笑った。

「お前もうざいから無理」

奈津くんは、それだけ言うと行ってしまった。

「な、なにあれ…」

私は、再びトイレへともどる。

「なにあの態度!望美さんと別れるきっかけは出来たかもしれないけど、私もうざいだなんて!」

私は、扉を蹴る。

『何でそんなに怒ってるの?』

ヒュプは、びくびくしながら出てきた。

「あんた、奈津くんの気持ち消したんだよね?」

『そうだよ。でも、完全じゃないけど』

「それ、どういうこと?」

『僕の力は、人の気持ちを捜査できる。でも、言ったでしょ?時間がかかるって』

「ちっ…」

じゃあ、奈津くんが私のものになるまで、もう少し時間がかかるのか…。