【望美】

シンクから奇跡のことを聞いた私は、奈津にその事を話していた。

「奇跡か…。一体何者なんだろうな」

「分からない。シンクの記憶が戻れば、他に何か分かるかもしれない」

シンクがどこから来たのかも。

「とにかく、まだしばらくは様子見だな」

「そうだね」

私は、この時不安を感じていた。

シンクのことを、私達は知ってもいいのか。

何故か、知ってはいけない気がしていた。

「そうだ、望美」

「な、なに?」

奈津に名前を呼ばれて我に返る。

「今年の文化祭、一緒に回ろうぜ」

「あ、うん!そうだね」

今はそんなに心配しなくても大丈夫だよね。

『むむむ…』

『どうしたんだよルル』

『なんか、気になる』

『何が?』

『うーん…』

ルルは、さっきから何かを深く考えていた。

ルルも何かを気にしているみたい。

シンクはというと、疲れたのか私の鞄の中で寝ている。