【雪南】

「はぁ…」

学校を出た私は、立ち止まり頬に手を当てる。

「めっちゃ可愛いかった…」

私は、さっき会った望美のことを思い出す。

「初めて見たときにズキュンって来ちゃった」

『また始まった…』

私の隣で歌の妖精であるメロディが、額に手を当てる。

『ホント、見た目によらず可愛いもの大好きだよね』

「だって、可愛いじゃん!」

『はぁ、これがあの東雲刹那なのか』

「あれは、仕事上の私だ」

メロディは、『やれやれ』と呟く。

『それより、シンクの件はどうするの?あの子、奇跡とはもう会ってるみたいだったし』

「そうだな」

とりあえず、あいつにはちゃんと報告しておくか。

シンクが望美と一緒ということは、シンクは今望美の家に住んでいるってことだ。

その時、携帯がバイブレーションし、私は電話に出る。

「はい、雪南です」

電話の相手は、マネージャーからだった。

「はい、今日の夜の歌番組のことですね」

私は、マネージャーから話を聞いたあと、電話を切る。

『森山さん、何だって?』

「これから迎えに来るってさ」

『そう』

私は、イヤホンを携帯に繋げ、ヘッドホンを付ける。

「夜まで集中しとこ」

そして、私は再び歩き出した。