妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

『ただいまー!』

「し、シンク?!」

『ん?』

シンクは、首をかしげて私の元に来る。

『なになに?どうしたの?』

「いや…、その…」

な、なんて言うべきなのかな?

ここは、正直に言うべきなのかもしれないけど、ルルがまだ雪南のこと疑ってるし、もしシンクに本当のこと言ったら、絶対ついて行っちゃう。

「あんたが、シンクか?」

『誰この人?』

「青柳雪南だ。あんたの持ち主からお前を探してほしいと言われてたんだ」

『奇跡が…?』

「奇跡?」

『な、何でもない!』

シンクは、慌てて自分の口を抑える。

『ほ、ホントにその人が私を貴方に探してほしいって頼んだの?』

「あぁ」

『なら大丈夫だよ。今会ってきたから』

「えっ?!」

『会ってきたの?!』

私達は、驚いてシンクに目を向ける。

「会ってきたってことは、記憶が戻ったの?」

『そういうわけじゃないけど、何か引き寄せられる感じがして、その気配を追ったら偶然そこにいて』

偶然で会うものなの?!

それに、何かに引き寄せられたって?

「なら、いいや。持ち主に会えたならそれでいいし」

雪南は、鞄を持って階段を降りて行く。

「あ、あの!」

「なに?」

「えっと…、ありがとう」

「?何でお礼言われるの?」

つ、ついありがとうだなんて言ってしまった。