妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【シンク】

私は、ある公園へと向かっていた。

オルドに気配を探られないように、蝶の姿で移動していた。

『ここにいるはず…』

木々を抜けると、そこにはある男の子が本を読んでいた。

(この人が…)

私は、確認するため彼の肩に止まる。

すると―――

「今までどこに行ってたシンク。心配したんだぞ」

『やっぱり、貴方が…』

「その貴方がって言うのやめろ、お前がお前じゃないみたいで気持ち悪い」

『き、気持ち悪いって失礼でしょ?!』

「事実だ。安心しろ、今オルドの気配はしない」

その言葉を聞いて、私は元の姿に戻る。

「それで、記憶は戻ったのか?」

『…全然』

「それでよく俺の居場所が分かったな」

『何かに引き寄せられる感じがした』

彼は、チラッと指輪を見る。

「あっそ…。でも、時間がない。ここに居られる時間はそんなに残ってないぞ」

『うん…、でも何かやらなくちゃいけない事があると思ってるの』

「俺達がここに来たのは、本来手違いなんだ。過去に深入りすると、帰れなくなるぞ」

『分かってる。それでも…』

私は、手に力を込める。

「俺達がここに飛ばされたのは、何か理由があると思っているのか?」

『多分…、そうだと思う』

「……」

彼は、読んでいた本を閉じた。