妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

(気のせいかな?)

「ねえ、あんた」

「は、はい?!」

いきなり雪南に話しかけられて、思わず声が裏返る。

「そんなにビクビクしなくても、取って食うわけじゃないし」

「ご、ごめんなさい」

「それより、あんたに一つ聞きたい事がある」

「え?」

雪南は、私の耳元で囁く。

「あんたさ、真紅の妖精見なかった?」

その言葉に、私はドキッとした。

もしかして、この子がシンクの持ち主?!

「も、もしかして貴女――?!」

言葉を言いかけた時、彼女の指が私の唇に触れる。

「話は後でいいから」

雪南は、そう言うと再び椅子に座る。

「ルル、あの子…」

『…多分あの子じゃないよ、シンクの持ち主』

「えっ?」

『だって――』

ルルは、雪南に指を指す。

すると、雪南の鞄から一人の妖精がひょこっと顔を出していた。

「よ、妖精?!」

じゃあ、何でシンクなんかを?!

『もしかして、シンクを捕まえに来たのかもしれない』

「シンクを?!」

それなら、無闇にシンクの事を言うわけにはいかない。

会ったばかりで疑うのは心痛いけど、シンクを守るためだ。