妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「分かっただろ。望美さんの周りには、お前以外の男だって居るんだ。ずっと隣に居て欲しいならキスの一つくらいしろ」

「そんなの、分かってるよ。でも、俺は望美を大切にしたいんだよ」

ちょっとずつお互いの距離を縮めて、キスとか手を繋ぐとか、していきたいと思っていた。

だって、俺が変にムキになったり変なことしたら、あいつ怖がるだろ。

俺は、望美にはこの先ずっと隣に居て欲しいって思ってる。

俺には、望美以外考えられないんだよ。

「奈津くんらしい考えだけど、だから誕生日があるんじゃん」

「は?」

そういえば、キスと誕生日は何の関係があったんだ?

「僕たち今日から高校生だし、望美ちゃんも十六歳になるじゃん?」

「だから、新しい一歩として―――」

玲緒と翔が同時に俺の肩に手を置く。

「「キス、奪っちゃおうか!」」

「何でそうなる!!!」

新しい一歩としてキス奪うとか、どういう神経してんだこいつらは!!

「別にいいだろ、望美さんの誕生日プレゼントおまえで決まりだろ」

「はぁ?!」

「そうそう」

そんなことを話しているうちに、電車は駅に着いた。

「あ、駅に着いたよ」

「じゃぁ、この話はここまでだな」

そう言い二人は先に降りる。

「お、おい!話は終わってないぞ!」

俺は、二人を追いかける。

「てゆか!お前たちは、したのかよ!」

「キスのことか?」

「そうだ!」

玲緒と翔は、顔を見合わせて言った。

「もちろん」

「したに決まっている」