妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

「すみません、入部したいんですけど」

「お、入部希望者だ!」

杏鈴さんは、扉の横に立つ女の子の所へと向かう。

「この時期に入部希望者が来るなんて初めてだけど、何年生?」

「一年です、一年E組です」

「名前は?」

彼女は、言うのを一度躊躇うと、杏鈴さんをじっと見ていう。

「青柳雪南(あおやぎせつな)です」

「青柳ちゃんね、入部理由は?」

「…ただの暇つぶし」

ひ、暇つぶしって…。

「…」

「え?」

雪南は、じっと私を見つめてきていた。

(私に何か付いてるのかな?)

「じゃあ、とりあえず何か描いてみる?」

「いえ結構です。今日は見させてもらえるだけでいいので」

雪南はそう言い、杏鈴さんの横を通り過ぎて適当に椅子に座った。

「な、なんか不思議な子だね」

「そ、そうですね」

その後いつも通り絵を描いていたんだけど…。

(な、なに…?後ろから何か痛い視線を感じる)

恐る恐る振り返ってみると、雪南は怖い表情でじっと私を見てきていた。

『ねえ、望美。あの子ずっと望美ばかり見てくるけど、もしかして知り合い?』

「し、知らないよ!」

今日初めて会ったんだけど――

と思った時、私は何かに気づく。

(あれ、あの人)

誰かに似てる気がする…。

何かを忘れている気がして、私は前の記憶を探る。

東雲刹奈に似てる?

気がしたけど、雰囲気が違うし髪型も違う。

同じなのは名前だけ。