「ちょっ?!何言ってんの?!」

小さな声でそう言い返す。

『だって、そうでもしないと二人きりになれないよ?』

「そ、そうだけど」

奈津だって忙しいかもしれないし、それに二人で抜け出すなんて…。

私は、昨日のことを思い出した。

「うっ…!」

頬が熱くなる。

「どうかしたの?」

「な、何でもないです!」

でも、二人きりになれるなら…、なりたいな……。

「話は以上です。解散してください」

私と天翔先輩は、一緒に美術室に向かった。

『ねえ望美、私これから外の方散歩してくる』

「うん、いいよ」

シンクは、窓が開いているところから外へと出ていった。

『ちょっと心配だなあ』

「シンクのこと?」

私は、リーゼルを運びながらルルの話を聞く。

『うん、シンクと会って三ヶ月経つけど、主が見つからないなんて、おかしいと思ってさ』

「それは、私も感じてた」

リーゼルを前に置き、画用紙をその上に乗せる。

『それに、シンク何か隠してるようにも見えた』

「え?」

『シンクは、何でもなさそうに私達に接してるけど、なんか違和感を感じて…』

「そっか…。でも、それは私達からは聞けないことかもしれない」

私は、画用紙に絵の具を塗っていく。

「もしかしたら、それは私達には言ってはいけないことで、話せないかもしれないしから」

『そうだね…。なら、私はシンクが話してくれるまで待つことにする』

「うん」

画用紙に絵の具を塗っていると、美術室の扉が静かに開けられ、私達はそちらに目を向けた。