【奈津】

俺は、今凄くイライラしていた。

「ねえ奈津くん、何で黙ってるの?」

原因は、水無月が隣りでずっと話しかけてくるからだ。

(何でこいつと同じスタッフなんだよ!)

これは、水無月が何か仕込んだとしか考えられない。

でなきゃ、こんな都合よく同じスタッフ何かになれるはずがないからだ。

『ハヤテも黙りだよね?』

『気安く話しかけんな』

ハヤテも俺と同じく、フレイアに対して冷たい態度を取っている。

『つれないなあ、お互い仲良くしようよ』

『お前となんか仲良くするわけないだろ!ルルに酷いことしたんだからな』

『あー…、そんな事もあったっけ』

フレイアは、誤魔化すようにハヤテから視線を逸らす。

「ねえ奈津くん、今年の後夜祭私と回らない?」

「はっ?」

何言ってんだこいつ…。

俺の返事分かってて聞いてきてるのか?

「誰がお前なんかと、俺は望美と回るって決めてるんだよ」

「えー、そうなの?つまんないの」

水無月は、頬を膨らませてそっぽを向く。

水無月は、何を考えているのか分からない。

俺を奪いに来るとかで、望美に何かを仕掛ける様子も今のところ見られない。

諦めたってわけでもなさそうだし、多分この文化祭で何か仕掛けて来るんだろう。

正直ここに新が居てほしかったとさえ思う。

俺だけじゃきっと、こいつを抑えられないからだ。