妖精の心を貴方に2 真紅の妖精

【アク】

『なんか、人間界で面白い子見つけたなぁ』

僕は、人間界が見える鏡を見ながら、足をぶらぶらとさせていた。

『ああ言う子の妖精で遊んだら、楽しいかな?』

僕は、望美と呼ばれた女性を鏡に映す。

『へえ、この子の妖精凄い力持ってるね』

有水って子は、望美が嫌いで、その恋人の奈津って人を奪おうとしている。

『なんか、面白そう』

僕は、ある妖精を一人呼ぶ。

『な、何?アク』

僕の弟のヒュプは、びくびくしながら僕の元に来る。

『これからさ、人間界に遊びに行ってきてほしいんだ』

『だ、駄目だよ!お母さんからは、まだ外に出ちゃ駄目って言われてるし』

『大丈夫だよ。バレないように僕がなんとかしとくから。あ、もしかして――』

僕は、ヒュプを睨みつける。

『僕のお願いが聞けないの?』

『ひぃ!』

ヒュプは、身体を縮こませる。

『僕の言うこと、聞けるよね?』

『う、うん』

ヒュプは、恐る恐る僕を見る。

その目で見られると、心の底がぞくぞくして、僕は快感を覚えられる。

『じゃあ、この有水って子のところに行ってよ』

『有水?』

僕は、ヒュプに鏡を見せる。

『この子。それで、一つやってもらいたい事があるんだ』

『な、なに?』

『それはね―――』

僕は、ヒュプに耳打ちをして、目の前の扉を開く。

『ここから人間界に行けるから』

『お、オルドに怒られるよ…』

『大丈夫だから。これは、オルドの力を真似て作った、僕専用の扉だから』

ヒュプを人間界に送り、僕は鏡に向き直る。

『この子が考える恋ってものが、どんなに脆いものなのか、拝見させてもらうよ』

暗闇の中、僕の低い声だけが響いた。