【奈津】

「ん?」

俺は、今通り過ぎたやつに振り返る。

そいつは、校舎の外に向かって歩いていった。

「誰だ?」

通り過ぎた時、何かを感じた。

「うちの学校の生徒じゃなさそう、学校の見学にでも来てたのか?」

「おーい!奈津してんだ!」

「わ、わりぃ!」

俺は、玲緒達の所へと向かった。

「どうしたの奈津くん?誰かいた?」

「いや、そういうわけじゃない」

気にすることないか、知らない奴だったし。

「あまり気を抜くなよ、大会が近いんだからさ」

「すみません、恭也先輩」

「それじゃぁ、走り込み行くか」

先輩達が前を走り、俺達はその後ろに続く。

「そういえば、今日新くんはどうしたの?」

「家の用事とかで今日は休むってさ」

「ふーん」

水無月のやつも今日休んだけど、何か関係あるのか?

俺は、そこで望美の事が頭に浮かぶ。

(今は大丈夫だろう。あいつは今部活に行ってるし、近くには先輩もいるだろうし)

俺は、頭を左右にふり今の考えを払い除けた。