放課後―――

奈津と階段で別れて、私は美術室へと向かう。

結局私以外に美術部に入部したのは二人だけ。

一人は男の子で、もう一人は女の子。

二人ともクラスが違うから、滅多に話す機会はない。

『美術室ー!美術室ー!』

シンクは、楽しそうに宙でダンスをする。

「楽しそうだねシンク」

『だって、望美の絵好きだもん』

「ありがとう」

廊下を歩いていると、美術室から天翔先輩が出て来る。

「こんにちは天翔先輩」

「えっ?!」

私の存在に気づいて居なかったのか、先輩は慌ててる。

「や、やぁこんにちは」

「?」

最近の天翔先輩は、最近様子がおかしい。

私と会うと慌てたり、若菜先輩と何か話してて赤面してたりなど…。

挙動不信というか…。

「いつも早いね」

「早く絵を描きたいので」

天翔先輩と一緒に、絵を描く準備を進める。

「今日亜鈴さん来ないから、自由制作にしようと思ってるんだ」

「そうなんですか?じゃあどうしようかな?」

今日は特にこれを描きたいっていうのは考えてこなかったし、どうしようかな?

「先輩は何描くんですか?」

「僕は、文化祭のポスターを描こうと思ってるんだ」

「文化祭のポスター?!」

そっか、もうそんな時期なんだ。

すっかり忘れてた。