手を繋ぎ歩いていると、前から何かが足元を走り抜けていった。
走っていったそれを何気なく見ると。
「…………猫…」
黒い毛並みが光を受けて緑色に光る、不思議な猫がじっと私を見つめていた。
「………にゃぁ〜ぅ」
小さくそう鳴いた猫は、そのまま私へ背を向けて走っていってしまった。
「……まったく、困ったものですね」
「ほんと、みーんなじっとしてられないのかなー」
「貴方が言えたことではありませんよ」
「?」
何のことかわからず首をかしげ、セイトを見ると。
「あ、うーん。なんでもなーい」
ニコニコと笑って誤魔化されてしまった。
「さっきの猫はね、僕らの…まぁ、仲間みたいなものかな」
「仲間………」
その言葉に、何故かちくりと胸に痛みが走った。
何も、覚えてないはずなのに。
少しだけおかしくて、笑ってしまう。
「猫が仲間ってのがおかしい?」
にこ、と笑ったセイトが、私に向かって首をかしげた。
どうやら勘違いされてしまったらしい。
「いえ、今のは………」
なんというべきか。
何も覚えていない、そう言ったらきっと。
「まー、不思議だよねぇ。わかるよ〜」
セイトは私の手を握る手に少しだけ力を込め、また歩き始めた。
が、すぐにまた足を止めた。
彼に合わせ、私も足を止めて前を見る。
そこには、赤い髪を肩につかないくらいに切りそろえた男性。
彼はゆっくりとした動きでこちらに近づいてきた。
リッカさんも背が高いと思ったけれど、彼はそれよりも高く、すらりとした手足が印象的だった。



