「袋持つ!」 「重たいから」 「持てる!」 「じゃあ、はい」 買ったものまで持ってもらってさすがに申し訳なくなる。 薄力粉にナッツ類にクリームとたくさんあるのに。 だから半分でも持とうとする私に、入谷くんは何も持っていない方の手を私に差し出す。 「手、繋いで。これでチャラ」 「いや、持つって」 「女の子は黙って男に任せればいいんだよ」 急に男らしく言うのはズルい。 すごくおかしい、私。 嫌なのに、入谷くんの手にそっと自分の手を重ねた。 それに満足そうな笑顔を浮かべ、ギュッと握られる。