土砂降りの雨の中 仔犬は誰かを待っていた 差しのべられた手を 振り払っても 待っていたい誰かがいたから びしょ濡れで みすぼらしい姿でも 構わず誰かを待っていた 濡れたダンボールに意味なんかなくなっても その場所から動こうとはしなかった あの仔犬は知っていたんだ 待つことをやめたら 捨てられたことを 認めたことになる だからずっと待っている 僕の心の片隅で 今でもまだ 待ち続けているんだろうか 閉ざした心の片隅で…… 【#073 心の中の仔犬】