憑代の柩

 



「普段なにしてるんですか? 暇なんですね」

「暇なわけないだろう。
 用があったから来たんだ」

「なんの用なんですか?」
と問うと、衛はお前に関係ないだろうという顔をする。

「訊きたいわけじゃないんですが、会話に詰まると嫌なので」

 そう言うと、
「……見舞いだ」
と素っ気なく言う。

 その口調に、とても続きはなさそうだ、と思い、ロビーの方を見た。

 なんだか見知った影がよぎった気がしたからだ。

「どうかしたのか?」

 ああ、いえいえ、と視線をそこから逸らしながら言った。