憑代の柩

「そ――

 それはそれは……」

 それ以上、上手い言葉が出て来なかった。

 間が持てずに、意味もなく、もみ手をしていると、

「それで終わりか」
と横目に見て言う。

「えーと。
 なんと言ったものかと」

 そのまま、要は黙っている。

 厭な話題を振った罰に、いいコメントを残せと求められているのだろうか。

「そ、そうですね。

 先生なら、もっといい人が現れますよ――

 とか?」

 そう言うと、

「死ぬほどムカつく台詞だな」
と吐き捨てられた。

 だったら、訊くな~っ! と思ったとき、車は走り出していた。

 衛と要。

 扱いにくさが、そっくりだ、と思っていた。