憑代の柩

「いいえ。
 あの人は、何か疑っているようでした。

 私に、衛さんが未練がましいから付き合わせて申し訳ない、的なことを言ってましたよ。

 入れ替わってるの、わかってるんじゃないんですか?」

 要は少し考え、

「兼平はなんて言った。
 正確に思い出せ」
と言い出した。

 頭の中で、フィルムを巻き戻すように、その前後の記憶まで再生した。

 すると、意外にはっきりと思い出せる。

 脳は自分では流してしまったような出来事も、ちゃんと記憶しているものらしい。

「えーと……

『未練がましい衛のせいで――』です」

 ふうん、という顔をする。

「兼平さんは、私を犯人だとは思っていないかも。

 協力してもらったらどうですか」

「言ったろう。
 衛は警察が嫌いなんだ。

 父親が死んだとき、御剣の手前、事件を早々に解決しようとして、奴らが適当な話をでっち上げて以来な」

「適当な話って?」
と訊いてみたが、不快そうな顔をしただけで流された。