憑代の柩

 


「本田ね」
と呟く衛は、顔だけ見ていると、然程興味もなさそうに見えた。

 本田が事件に関係ないとしても、恋人に近しい男が居たというだけで、落ち着かない気持ちにならないものだろうか。

 これが何事にも勝って来た人間の余裕という奴だろうか、と思った。

「それにしても、友人も来ない、親族にも歓迎されていない式に、そもそも、誰が花を贈ったのかって話ですよね。

 誰も知らないのに。

 まず、不審に思いますよね。

 親族が貴方のご機嫌取りに送ったとか?

 取引先はそんな出しゃばった真似はしないでしょうし。

 万が一、そういう相手が送ったのだとすると、貴方の方に送るのではないですかね?

 花嫁ではなく」

 花嫁の控え室の方に送られてたんですよね?
と確認する。

「まあ、内緒にしてたとは言っても、もれてたとは思いますけどね。

 いろいろなところに。

 ねえ、衛さん、本当に犯人に心当たりはないんですか」