憑代の柩

 


 今日の昼、大学の図書館で新聞をめくっていた。

 この事件か。

 小さく教会の爆破事件が報じられている。

 その事件での死亡者のところに、自分のものらしき顔写真があったが、相変わらず、新聞の白黒写真というのは、いつのものだかわからない上に、よく見えない。

 顔を寄せて、それを睨んでいると、

「あづさ」
という声が聞こえた。

 えーと。

 これは私を呼んでるのかな、と思い、振り返る。

 自分と同じくらいの身長の青年が居た。

 御剣衛のような美形ではないが、穏やかで好感の持てる風貌をしている。

「式場が爆破されたって聞いたけど、大丈夫だったの?」

 式場が爆破されて大丈夫なんてことはまずないだろうよ、と思ったが。

「ああ、うん、なんとか」
と答える。

 男はそこで、少し妙な顔をした。

 あ、やば。

 もしかして、童顔だけど、年上なのかな?

 敬語で話すべきだったか。

 新聞を閉じ、頬に軽く手をやり言った。

「爆発のショックでちょっと記憶が混乱しちゃってて」

 そう言えと、衛に言われていた。