憑代の柩

「だって、衛さん、何も話してくれないから。

 こっちだけ、情報渡すのもね」

 まだ、文句を言ってこようとする衛が怒りに顔を赤くするのを見て、なんだ、ちゃんと感情出せるじゃないですか、と思っていた。

「本田一範(かずのり)って言うんです。その人。

 ご存知でした? あづささんと親しいみたいでしたよ、……かなり」

 ちょっと言いつけるみたいな感じになるから言うの、厭だったんですよねー、と付け加えた。

「なんか可愛い顔した男の人です。

 身長は私より少し高いくらい……あ、あづささんて、身長は」

「お前の方が少し高いな。
 だが、ほとんど変わらないはずだ」

「そうですか。
 じゃあ、大丈夫でしょうけど。

 あの人、あづささんに気があるみたいでした」

「どうして、先に言わないんだ」
と衛は眉をひそめる。