憑代の柩

「家庭教師の方は?」

「何かを追うようにして、流されていく女を見たって証言が出て来たが、彼女の遺体は上がらないままだった。

 下流の滝壺に落ちたら上がって来ないって話だからな。

 だがまあ、変わり果てた遺体なら、上がらなくて正解だったかもな」

「そうだったんですか。
 まあ、霊なら奇麗なままですしね。

 可愛い生徒の側に付いて今も見守って

 ……ないですね」

 衛の周囲を見つめたあとで言う。

 余計なことを教えてくれてどうも、と衛は低い声で言った。

 ああ、また、一言、余計なことを言ってしまったようだ……。

「まあ、貴方が話したくないことをひとつ話してくださったので、私も話しましょう」

と言うと、衛が、なにっ!? という顔で見る。

「実は今日、怪しい人物と接触しました。

 麻紀さんとしか話してないというのは嘘です。

 一番長く話したのは本当ですが」
と言うと、衛は呆れた顔をしていた。

「お前……お前は自分の置かれた状況がわかっているのかっ」