憑代の柩

 台拭きを手に持ったまま、衛の前、ちゃぶ台に座る。

 腕を組み、脅すように言った。

「少しはこちらにも協力してくださらないと、私も困ります」

「困ってどうするんだ。

 お前は、此処から出て行くことも出来ないだろう。

 戸籍も金もないのに」

「なんとかなりますよ、きっと。

 おぼっちゃま育ちの貴方は、きちんとした環境がなきゃ生きていけないでしょうけどね」
とつい、憎まれ口を叩いてしまう。 

 衛はそれには反論せずに、ぴしゃりとテーブルについていた手を叩いて言った。

「テーブルに座るな」

「わかってますよ。
 脅してるんです」

「昔――」

 衛はぼそりと何か言い出した。

「家庭教師がよくそうして、机に座って威圧するようにこちらを見て脅してたな」

「それで言う事聞いてたんですか?」