憑代の柩

 溜息をついて、言った。

「なんでも話してくださらないと困ります。

 こっちも命かかってますし。

 何が事件の原因になっているかわからないじゃないですか」

 だが、衛はそれ以上、口を割るつもりはないようだった。

 まったく、困ったお坊ちゃんだ、と思いながら訊いた。

「ご友人を式に呼ばれなかったのは何故ですか?

 それなりの友人は居ると言ったときの貴方の顔、いつもより柔らかく見えました。

 きっと本当はいいお友達も居るんでしょう。

 兼平さんとか」

「なんで、あれの名前ばかり出す」
と言ったときの少し照れくさそうな顔を見て、あれ? やっぱり、彼とは仲がいいのかな、と思った。

「あの人しか今のところ、知らないからですよ。

 で、そのご友人方を式に呼ばれる予定でなかったのは何故ですか?

 それと――

 そういうご友人が居るのに、要先生が、貴方のことを淋しい人間だと言っていた訳は?」
と言うと、衛は舌打ちをする。

 そんなこと言ってやがったのか、と。