憑代の柩

「いや、お前があづさに友人が居ないのをおかしいと思う理由だよ」

「衛さん、お友達はいらっしゃいますか?

 ああ、兼平さんとか、居ますよね」
と言うと、そう答えたくはなさそうだったが、

「まあ、それなりに」
と言う。

「そうでしょう。
 貴方のような人でも」
と言うと、どういう意味だ、と睨まれた。

「なのに、あづささんには、ちょっとお話をするようなご友人もまったく居ない。

 おかしいです。

 あづささんは、周りの人間とわざと距離を置かれていたのではないですか?」

 台拭きを手に戻ったとき見た衛の顔は、わずかに強張って見えた。

 彼の前を拭きながら言う。

「何かお心当たりでも?」
と訊いてみたが、

「……いや」
と言う。