憑代の柩

「でも、おかしいです」

 食べ終わったパックを重ねながら言うと、衛は、ん? という顔でこちらを見た。

「普通、どんなに性格の悪い人でも、それなりの友人は居ます。

 でも、あづささんには、そういう付き合いもないようでした。

 結婚式にご友人は誰か招待するようになっていましたか?」

「いや。
 誰も呼ぶつもりもなかったから」

 親族も、と衛は言う。

 どうやら、式のことも、前撮りのことも親族には内緒にしていたようだった。

 まあ、一族の反対に遭うのは目に見えていたからだろうが、それは、御剣の跡継ぎにしては、随分と寂しい式に思えた。

 あづさとの結婚に対する衛のなみなみならぬ決意が窺える。

「来て、要くらいかな」

「要先生のことは、やはり信頼されてるんですね」
と言うと、どうだかな、と嗤う。

 ……わからんな、此処の友人関係も、と思いながら、パックを台所に持って行った。

 後ろから衛が訊いてくる。

「それで?」

 パックの汚れを水で流しながら、
「はい?」
と『それで』の意味がわからず、訊き返した。