憑代の柩

「そうなんですか。
 まあ、貴女にはいい人が見つかると思いますよ」

「軽く言ってくれるわね~」

「貴女と衛さんは似すぎています。
 遺伝子的には違う人間同士が組み合わさる方がいい子孫を残せると言いますよ」

 そう言うと、麻紀は妙な顔をしていた。

「あんたさ」
「はい?」

「いや、いいわ。
 まあ、なんにせよ、人前であんまりしゃべらないことね。

 あんた、顔はそっくりでも、とても、あづさには見えないわ。その顔は?」

「整形だそうですよ」
 麻紀は厭そうな顔をした。

「いや別に、衛さんは、私をこの顔にして愛でようとおもったわけじゃないですよ。

 犯人を誘(おび)き出すためにです。

 ところで、衛さんて、こういう顔が好みなんでしょうかね?

 可愛いけど、さほどの美人でもないようですが」

「可愛いけどって、あんた、自分の顔でしょ」

「他人の顔ですよ」
と呆れたように言った麻紀に言い返す。

「衛さん、自分の対極にあるものが好きなんですかね?

 やはり。
 遺伝子的に」

「あんた、そういう物の考え方で楽しい?」
と言ったあとで、麻紀はまた考えるような仕草をする。

「私は、あっちの棟に居るわ」