憑代の柩

「知らないおっさんですっ。

 たぶん、先生。
 黒板の前に居ます」

「……それで?」

「いや、それだけですけど」

 そうか、と言い、衛は車を発進させた。

 こいつ、きっとロクな親にならないなと思った。

 子供が一生懸命、何かを言ってきても、きっと振り返りもせず、ああ、そうか、偉いな、と言ってのけることだろう。

 いや、まあ。

 自分が彼と結婚するわけじゃないからいいのだが。

 去って行く車を見送りながら、そんなことを考えていた。