憑代の柩

「人でなしって意味でですかね?」

 はは、と笑う。

 自分のせいで、妹や要や、衛の父親の運命を狂わせ、なおも、衛と平気で居たら、それは相当な人でなしだ。

 自分という人間は、何かが欠落しているのかもしれないが。

 その感情の流れが他人にも適用されるとは、さすがに思ってはいない。

 そんなことを考えていたとき、ん? と気づいた。

「先生」
と顔を上げる。

「誰か忘れてませんか?」

 止まった交差点で振り返ると、必死に走って追いかけてくる流行の姿が見えた。

 笑ってしまう。

「……ところで、あの、先生。

 もしかして、死体は川か海に沈められましたか?」

「そうだが?」
と言う八代に、やっぱり、と苦笑いする。

 あの男の霊、必ず、水を落としていってたもんな~、これみよがしに。

 そのとき、車の後部で、ドン、と音がした。

 怪奇現象か、爆発かとビクビク振り返ったが、ようやくたどり着いた流行が車に手をかけたようだった。

 ドアを開けてやる。