憑代の柩

 一応、心配はしてくれているのだろうかと思い、無駄に高い位置にあるその顔を見上げてみたが、相変わらずの無表情だった。

「まだ呑気に朝食か」

 テーブルに載ったままのそれを見て言う。

「いやいやいや。
 食べましたよ。

 寝不足で食欲がないので、残してるだけです」

「寝不足?」

「どうでもいいけど、上がりませんか?

 心配しなくても、部屋に入ったから結婚してくれなんて言いませんから」

と言うと、少しの間の後、小さな声で、莫迦か、と吐き捨てる。

 おっと。
 この顔で言ってはいけなかったか、と気づいたが、遅かった。

 どうも私という人間は、少々無神経らしい、と思った。

 先に奥に入りながら、

「えーとですね。
 昨日、ちょっと夜中に首を絞められまして。

 他にも人気を感じたりしたので、寝そびれたんです」
と報告してみた。

「首を絞められた?
 誰に?」