憑代の柩

 この上なく、人間らしいと私は思う。

 やったことは間違っているかもしれないが。

 この足許でわめき続けている衛の母もまた、同じだ。

 そこで、真澄の腕を捻っていた威が溜息をついた。

「どうして」
と威の出現を不思議に思っていたらしい衛が彼に向かい、訊いていた。

「そこの嬢ちゃんに招待状をもらったんだよ」
と威はポケットから出したそれを振ってみせる。

 夕食の上に載っていた、と。

「親族が出ない式ってのも、可哀想だろ。

 幾ら小憎らしい甥でもな」

「離しなさいよっ、威っ。

 あんた、この売女の味方なのっ?」

 なおも罵り続ける真澄に、威はふっと息を吐き、

「あんた、いつからこんなになっちゃったのかな」
と言った。

「最初、兄さんの見合い相手として、あんたが来たとき、こんな奇麗な女が居るのかと思ったもんだが」

「あんたのその兄さんが悪いんじゃないの!

 あの日、珍しく早く別荘に着いたと思ったらっ」

 そこまで言いかけて、真澄は、はっと言葉を止めた。