憑代の柩

 兼平も来ていることに気づいていた。

 かつて、面識のあった彼にはわかっていたのかもしれない。

 私が咲田馨であることが。

 自然に滲み出す雰囲気というものは、自分では変えられない。

 咲田馨を知らない人間なら、騙せても、知っている人間に、これは、あづさだと言っても、通用しなかったことだろう。

 威がすぐに気づいたように。

「『佐野あづさ』は確かに何もしていない。

 ご両親の死は証拠がないし。

 あの男は奏が殺した。

 爆弾だって、奏は解除できたのにしなかった」

 自分の顔をした彼女を見る。

「そうね。
 そういう意味では、花屋の店員殺したのは、貴方の妹かもね」

 そうだろう。

 そして、奏は、私たちも巻き込むとわかっていて、爆弾を止めなかった。