憑代の柩




『わかったわ。

 だからね、おねえちゃんがこれ着て出てって、時間を稼いで。

 その間に私、姿を消すから』

 私は、そんな奏の言葉を思い出していた――。

「その爆弾で私を殺すつもりだったんですか?

 それとも衛を?」

 あづさの手にある花を見ながら私は問うた。

「さあね。
 なんだかこのまま終わらせたら、奏に悪い気がしたのよ。

 変ね。

 私にはもうそんなまともな感情はないと思っていたのに」

 何処かで聞いた台詞だ。

 要を見る。

 彼と居るとき、いつも思っていた。

 私にはもうそんな感情ないのだと。

 だけど、私は衛と出逢った。

 好きだったのだろうか。

 よくわからない。

 でも、衛と居ると、わからないまま、要と居る自分を恥じる気持ちが湧いてきた。

 花籠を見ながら、私は問うた。

「警察に捕まります?
 逃げてもいいですよ」

 なにっ? という顔で、麻紀たちが見る。