憑代の柩

 
 

 佐野あづさが告白を続ける中、奏の魂は、この教会に漂い、誰にも姿を見せずに、ひっそりと成り行きを見守っていた。

「じゃあね。
 おねえちゃん」

 あのとき、姉に手を振ったあと、私は花籠の前に立った。

 一度だけリハーサルをやった祭壇の前を思い出す。

 衣装合わせも別々にやったから、結局、衛の正装した姿は見れなかったな、とぼんやり思った。

 そして、今になって思う。

 私は本当にあづさのために、あの男を殺したのだろうか、と。

 ただ、自分が死ぬ理由が欲しくて、彼を殺したのではないか。

 復讐のために近づいたはずの衛への想いに苦しんで死ぬなんて思いたくなくて。

 死んでなお、何度も、部屋を訪ねては殺されにくるあの男。

 もうすべて、終わりにしたい。

 爆弾の入った花籠を見た。

 解除方法は聞いていた。

 これは脅しだ。

 思いとどまれとあづさは言っている。

 あづさは私が衛を殺すのだと思っている。