憑代の柩

 


 朝日の中、目が覚めた私は、自動的に朝ご飯の支度をしていた。

 じゃがいもと玉葱のお味噌汁に、納豆。

 お醤油をかけた海苔。

 それに炒めたウインナーご飯を食べ、支度をし、鏡を覗いた。

 今は自分以外の誰もそこに映らない。

 自分の歯ブラシを取る。

 人様の物を使うのも悪い気がしたので、昨日、食事のあと、衛を付き合わせてドラッグストアに行ってきたのだ。

 ブラシや歯ブラシ、タオルなんかを買い込んだ衛は滅多にそんなところに入らないのか、物珍しそうに見回したあと、カートを押したいと言ってきた。

「いやいやいや、どっかで見張っている護衛の人とやらに、無礼討ちにされても困りますから」

「なにを言ってるんだ。
 お前は一応、僕の婚約者だ」
と衛は、彼の手を払ったこちらの手を払う。

「いやいやいや、貴方、押してみたいだけでしょう?」

 そんな子どものような遣り取りを続けたあと、実は子どもではない衛に、全部買ってもらってしまった。